その日、僕は副リーダーのフリックと一緒にトラン城の周りを散策していた。
食料や日用品の調達も兼ねて、ヤム・クーに船を出してもらってカクの町まで出掛ける。
すると。
ずるっ
「うわっ!」
ばっしゃーんっ!
・・・フリックが足を滑らせて湖に落ちた。
・・・間抜けだな・・・
心底呆れて泡の立つ湖を見つめる。
フリックはまだ這い上がってこないけれど、問題はないだろう。
彼は風船でどこかに飛ばされた時も、放っておけば3日後には自力で戻って来た。
さて、もう少し待つか、それとも捨て置くか。
考え込んでいると。
ざばーーーっっ
巨大な水柱を上げて湖から出て来たのは。
・・・・・・?
「レックナ―ト様?」
そう、それは間違いなく、ルックの師匠にして星見の魔術師の女性。
湖から出て来たのに何故かまったく濡れてない。
いや、それよりもいったい何のつもりなのだろう?
首を傾げていると、レックナ―ト様は優雅に微笑みながら柔らかく言葉を紡いだ。
「貴方が落としたのは
金のフリックですか?
銀のフリックですか?」
彼女の両脇にいつの間にか全身が金色のフリックと銀色のフリックが現れた。
・・・・・・不気味・・・・・・
とりあえず僕は問われたことに答える。
「いいえ。青いフリックです」
■■■■■
「で、正直に答えたら3人ともくれたって?」
「そう」
ルックが呆れたような、疲れたような、怒っているような表情で僕の後ろを指差した。
そこには金銀青の3人のフリックの姿。
そう、あの後レックナ―ト様は金のフリック、銀のフリック、そして青いフリックをくれたのだ。
はっきり言って不気味だし、いらないんだけど。
ルックは深く深く溜息をつき、
「3つとも捨ててきなよ」
「俺もか!?」
青いフリックが顔色まで真っ青にして悲鳴のような声を上げた。
ああ、青いのはいつものフリックだったのか。
END
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