戦闘を終え、戦場からAAに戻ってきたキラ、アスラン、カガリを出迎えたのは、サイやミリアリア、ディアッカ。エターナルから駆け付けたラクス。そして・・・
「キラ!」
「フレイ! 良かった、無事だったんだね!」
シャトルで脱出し、AAに保護されたフレイ・アルスター。
帰って来たキラに走り寄る彼女は、キラに会えた嬉しさや彼が無事であったことへの安堵に涙を浮かべる。
だがすぐにそれは哀しげなものとなり、フレイは申し訳なさそうに俯いた。
これほどまでにボロボロになりながら、命を懸けて戦っていたキラ。
何も知らず、何も見えていなかった自分が彼にしてきたことを思うと居たたまれない。
「キラ、私・・・あなたに謝り・・・」
「フレイ!!」
ガシッとばかりにフレイの肩を掴むキラ。
あまりの迫力に、フレイは謝罪の言葉を飲み込んで彼を凝視する。
フレイの視線の先には、真剣な表情で彼女を見つめる紫の瞳。
「結婚しよう!!!」
「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」
沈黙が漂う。
茫然とする仲間達の視線の中、キラは苦渋に満ちた表情で語り始める。
「ずっと、云いたかったんだ・・・。僕は、君の優しさに甘えてばかりで、君に何もしてやれなかった・・・」
「キラ、そんな、私こそ・・・」
痛みに耐えるようなキラの苦しげな様子に、フレイは頭(かぶり)を振って彼の言葉を否定しようとする。
キラはそれを遮るように、想いを告げる。
「でも、僕は君が大切なんだ! これからは僕が君を守って生きていきたい!」
「キラ・・・」
「君が好きだよ・・・。フレイ」
「ありがとう、キラ。私・・・ずっと貴方に謝りたかったの。でも・・・ごめんなさい。結婚なんて・・・」
そう言って困ったように俯くフレイ。
「え? あ・・・ごめん、僕のこと・・・」
まだ嫌われているのだろうか。
キラは情けなさそうな表情で身を離そうとする。
そんな彼の腕を、フレイは慌てたように掴む。
「ううん! キラのことは好きよ。ただ・・・」
「ただ?」
聞き返すキラに、フレイは逡巡するように視線を泳がせた後、決心したかのようにきつく目を綴じた。
「ただ、私・・・・・・サイのことも好きなの!!」
「ふ、フレイ・・・っ!?」
いきなり名指しされ、動揺するサイ。
フレイの縋るような瞳とキラの探るような瞳が向けられ、思わず後ずさる。
傍にいたミリアリアやディアッカが、混乱するサイを憐れむように見つめている。
サイとてフレイが好いてくれるのは嬉しい。
だが、そのためにまた友人であるキラと険悪な関係になってしまうのは嫌だった。
どう答えるべきか苦悩していると、キラが優しい眼差しでフレイを見つめ、穏やかに口を開いた。
「フレイ、いいんだよ。僕だってサイのことは大事な友人だと思ってる。君が好きになるのは当たり前だ」
「いいのかよ・・・」
ぽつりとディアッカの突っ込みが入る。
だがフレイしか見ていないキラには、そんなもの耳には入らない。
「それにね、僕だって・・・君を愛しながらラクスのことも好きなんだ!!」
「「「「「・・・・・・おい・・・・・・」」」」」
アスラン、カガリ、ディアッカ、ミリアリア、サイの呆れたような声が同時に発せられた。
しかし外部の声など完全シャットアウトしているキラとフレイには届かず、フレイの感極まった声が響く。
「そうだったの! キラ、私達同じだったのね!」
「そうだよ、フレイ。だから気に病むことはないよ。フレイは僕とサイと結婚すればいい! 僕は君とラクスと結婚するから!」
「おいおいおいっ! それでいいのか!?」
キラのとんでもない台詞に、慌てて声を上げるディアッカ。
それに答えたのはおっとりした優しい声。
「私は構いませんわ。楽しそうですものv」
「え? そ、そういう問題??」
ラクスの本当に楽しげな笑顔に、ミリアリアは信じられないものを見るような目を向けた。
しかし恋人達の暴走は止まらない。
「キラ! 解ったわ。私、これからもキラとサイを愛していくわ! 私はもう自由なんだもの!!」
「うん! 僕達は自由だっ! 僕もフレイとラクスを愛していく! あ、でもカガリは特別だよ。僕の大事な妹だから」
『妹』に顔を向けてにっこりと笑いかけるキラに、「私は姉だっ」というカガリの主張は届かない。
「キラ!」
「フレイ!」
ひしっ
涙を浮かべ、固く抱き合う二人。
お互いのぬくもりを感じながら幸せそうに微笑む彼等に、もはや言葉は要らない。
仲間達が見守る中、二人の世界が築き上げられていった。
「あらあらあら」
キラとフレイの抱擁を温く見守るラクス。
「ちょ、キラ、フレイ?? 俺の意思はどうなるんだ!?」
困惑するサイの姿に、ディアッカが同情の呟きを漏らす。
「可哀想に・・・。サイに勝ち目ないぜ・・・」
「いいの? あれって・・・」
「まあ、本人達は納得してるみたいだし」
さすが天下一品の適応能力の持ち主。
サイには同情するものの、すでに他人事として片付けている。
そしてそれはもう一人のコーディネーターも同様なようで、彼はその端正な顔立ちに甘い笑みを浮かべて隣に立つ愛しい少女の肩を抱く。
「カガリ、俺はカガリ一筋だから安心しろv」
「いや、それよりお前等あの状況見て云うことはそれだけなのか?」
奇異な事態に、ナチュラルの少年少女達はただ茫然と佇むだけだった。
END
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