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告げる想い
シュウはアークを想い、エルクはククルを想う。
そして、アークとククルは愛し合っている。
皮肉な状況だなと、シュウは自嘲的な笑みを浮かべた。
誰が見てもアークとククルはお似合いのカップルだ。
自分やエルクの入り込む余地などないのに、何故この想いは消えることがないのか。
視線の先には、過去の世界より持ち帰った情報を報告するアーク。
あの凛とした姿を、何度こうして見つめたことだろう。
「エルク、南極は君に任せたい」
「おう、任せとけ」
明るい返事を返すエルク。
彼にとってアークは恋敵であるはずだが、エルクがアークを敵対視することはまったくない。
そのエルクの気持ちを知ったのは、つい先程のことだ。
アークが過去に旅立った後、シルバーノアで待機するメンバーの中にエルクの姿がないことに気付いたシュウは、彼を探しにククルの神殿に戻った。
すると、奥の祭壇の間の入り口の柱の影で、声を殺して泣くリーザを発見した。
彼女の傍に行って「どうした?」と問うと、リーザは慌てて涙を拭いて「何でもありません」と言って足早に去って行った。
反射的に後を追おうとすると、奥からエルクの「ふざけんな!」という怒鳴り声が響き、思わず立ち止まってエルクとククルの会話を聞いてしまった。
エルクは、ククルに対する恋心を真っ直ぐに彼女に伝えた。
応えてくれなくても良いからと言う彼のその想いを、ククルは微笑みを浮かべて受け入れた。
シュウは、エルクの純粋さを羨ましく思った。
そして考える。
この想いを伝えると、アークはどうするだろう、と。
怒るだろうか、困るだろうか?
それとも・・・
数時間前、パレンシアタワーでシュウは初めて、取り乱すアークを見た。
目の前で父親の命が消えようとしているのだから無理もないことだが、制止の声も届かないほど彼は錯乱していた。
そんな彼を、シュウは力で強引に抑え付けた。
鎧と服の下の身体は、ほどよく筋肉が付いてはいても、少年らしく細く華奢だった。
あの時、壁にアークを押し付けながら、柄にもなく胸が高鳴るのを感じた。
アークが好きだ。
いつからか、その想いはシュウの中で揺るぎ無いものになっていた。
だからこそシュウは、アークと共に北極に向かうか、エルクと共に南極に行くかの選択で、迷わず北極を選んだ。
北極に向かうのはアーク、ポコ、トッシュ、ゴーゲン、そしてシュウの5人と決まった。
「何だシュウ、お前ガキのお守はしなくていいのか?」
トッシュが、冗談とも本気ともつかないような表情で尋ねる。
「誰がガキだ、おっさん!」
シュウが答えるより先に、すかさずエルクが反撃する。
「おっさんだあ?」
怒りを秘めた眼光がエルクを突き刺す。元々目付きの悪いトッシュだけに、凄まれると結構怖い。
だがエルクは物怖じせずに睨み返した。
「・・・・・・」
「「・・・・・・っ!(ビクッ)」」
あわや取っ組み合いに発展するかと思われたが、アークの不機嫌そうな一睨みにその場の全員が凍り付いた。
エルクのように挑戦的でも、トッシュのように威圧的でもないが、普段感情を抑えているアークなだけに、その一睨みの効果は絶大だ。睨まれた本人だけでなく、周りにまで影響を及ぼす。
アークはメンバーの中で最も精神的、肉体的に疲れ果てている。
そしてククルとも離れてアンデルと戦うことになるであろう今の状況。当然機嫌も悪くなろうというものだ。
「出発したいんだけど・・・・・・準備はいい?」
冷たい無表情で淡々と問うアークに、誰も何も言えずにただ首を縦に振って答えた。
■■■■■
目的地に着くまでの間、一同はシルバーノアの船室で休息を取ることにした。
エルクやトッシュと共に割り当てられた部屋に向かう途中、シュウは目の端に人の気配を捕らえて視線を巡らせる。
薄暗い船内を屋上に通じる階段へと向かう人影。
シュウは一目でそれが誰なのか解った。
(今のはアーク?)
一番休息を取らなければいけない人間が、何をしに屋上などに行くのだろう?
当惑と、微かな苛立ちが湧き上がる。
「アークじゃねえか。屋上に行くつもりか?」
トッシュが声を上げる。彼もアークの気配に気付いていたようだ。
「いいのかよ。アークは休まなきゃいけないはずだろ?」
心配を含むエルクの声。
呼び戻しに行こうとしたエルクを、トッシュが止めた。
「放っといてやれ。いつものことだ」
「え?」
エルクとシュウの視線がトッシュに注がれる。
トッシュはしまった、という表情を浮かべた後困ったように頭を掻いた。
「あー、いや、まあ・・・」
言葉を濁すトッシュに、シュウの苛立ちが増す。
「何なのだ?」
珍しく感情の表れた彼の表情と声に、トッシュだけでなくエルクも意外そうにシュウを見やる。
「どうしたんだよ、シュウ。珍しいな。あんたが他人のこと詮索するなんて」
シュウは何も答えずにトッシュの言葉を待つ。
その様子にトッシュは諦めたように溜息をつき、
「アークはな、時々ああやって一人の時間を作りたがるんだよ。1年前、ククルがいた時はそうでもなかったが、精霊の力を受け継いでからは、ずっとそうだ。色々と考えることがあるんだろうな。俺達もあえて邪魔しようとは思わねえ。そっとしておいてやるのが一番なんだよ」
放っておけと言う割に、心配そうなトッシュの表情。
だがエルク達に向き直った彼は、いつもの調子で、
「ま、ククルといる時は一人になるどころか二人きりになりたがるけどな」
と言っておどけたように肩を竦ませる。
そしてトッシュはエルクとシュウを促して、船室に向かおうとする。
シュウは少し考え込んだ後、踵を返した。
「だが、今は休んだ方がいいだろう」
決然とそう言って、屋上に続く階段に向かう。
「おい、シュウ!」
驚いたようなトッシュの声にも耳を貸さず、彼はアークの後を追って行った。
残されたトッシュやエルクは、いつも冷静なシュウの意外なほど強引な行動に呆気に取られていたが、止めようとはしない。
二人ともシュウと同じく、アークには何よりも休息が必要だと思っていたからだ。
屋上への扉を開くと、冷たい風が吹き抜けた。
肌寒さに微かに身を震わせながら、甲板に出てアークの姿を探す。
彼は壁に凭れて腰を下ろし、星空を見ていた。
あまりに孤独なその姿に、シュウは声を掛けるのを躊躇ったが、その彼にアークの方が気付いた。
初めて会った時と似ているな、とシュウは思った。
あの時と同じように、アークは驚くでもなく、黙ってシュウを見つめている。
「アーク、こんな所で何をしている? あんたは疲れているはずだ。早く休め」
静かながらも、叱るような口調でシュウが言った。
目を逸らして俯いたアークは、風の中に消えそうなほど微かな声音で「眠れないんです・・・」とだけ言って再び空を見上げた。
その姿の儚さに、アークが夜空に消え入りそうな錯覚に捕らわれて、シュウは彼の傍に駆け寄った。
鎧を纏わない肩に触れ、存在を確かめるように振り向かせる。
「シュウさん?」
戸惑いを浮かべるアークの表情は無邪気で、年相応の幼さが感じられる。
ほっと息を吐いて、「隣に座っても良いか」と尋ねると、アークは黙って頷いた。
「本当に大丈夫なのか?」
腰を下ろしながら、心配げに問い掛けるシュウに、アークは苦笑を返す。
「俺ってそんなに弱々しそうですか?」
初めて会った時は、アーク達とはかなりの力の差があったが、旅を続けているうちにシュウやエルクもレベルが上がり、今やアークやトッシュ達ともさほどの差はない。
となると、それぞれの戦闘の役割というものもはっきりしてくる。
トッシュやエルク、シュウは前線で戦うタイプだ。攻撃魔法や治癒魔法を主体とする者は後方から魔法を唱える。
その中で、アークとポコの二人はどちらにも属さず、どちらもこなす、いわゆる万能型である。
アークは何でもこなすが、何でもできるということは傑出した力を持たないということだ。だがそれは別に、彼が弱々しいということにはならない。
前線組のように回復係がいないと苦しいということも、後方組のように直接攻撃に弱いこともない。
どちらかというと、アークやポコのようなタイプこそが敵とするには最も厄介だろう。
そんなアークの質問に、シュウは「そうではないが・・・」と口篭もる。
「あんたは俺達の中でも一番休息を必要としているはずだ。北極での敵は一筋縄ではいかぬだろうし、何よりあんたは・・・」
言い掛けて、ふと思い止まる。
一拍の間があって「ああ」と呟くシュウに、アークは怪訝そうな目を向ける。
「そうか。あんたは過去に行ったんだったな。ククルに甘えてきたか?」
その言葉に、アークの顔が赤くなる。
アークの身に様々なことが起きたのは、シュウ達にとっては昼間のことだが、過去を旅したアークにはすでに数日前の出来事となっている。
その過去で、アークはククルと二人きりだった。彼の傷付いた心はククルが癒したに違いない。
「俺の慰めなど必要ないか」
「慰めるつもりだったんですか?」
その割には今のは意地悪だったぞと、アークの恨みがましげな視線が訴える。
「アークは・・・、この戦いが終わるとククルと結婚するのだな・・・」
「え? 何故ですか?」
重い口調で言われたシュウの言葉に、アークはきょとんとした顔で返す。
深刻そうな表情のまま暫し沈黙した後、シュウは眉間の皺を深くする。
「プロポーズしていただろう?」
「いつ? 誰が?」
「・・・・・・」
彼は(からかっているのか? それとも天然ボケか?)と、真剣に思い悩んだ。
「ククルと二人でそんな話をしていただろう? 二人で暮らそうとか何とか」
再びアークの顔が赤くなった。
シュウは、思わず片手で口元を覆う。
昨夜、アークとククルが二人きりで話していたところを見たことは知らせないでいるつもりだったのに。
ちなみにその時エルクも一緒だったのだが、そこまで口を滑らせるつもりはなかった。
赤面したままアークは、黙して語らず状態だ。
ただ、ククルとの甘い会話を聞かれたのが恥ずかしいのか、弱音を吐いているところを見られたのが恥ずかしいのかは解らない。両方かも知れないが。
「すまないな。プライベートを覗き見して・・・。ただ、気になって様子を見に行ったらそんな話をいていたので、つい聞き入ってしまった」
シュウの珍しい言い訳に、アークは一瞬目を丸くした。
「済んだことですから・・・」と呟くと、アークは不思議そうに首を傾げる。
「で、何故それで俺達を結婚するんですか?」
その質問に、シュウは呆れ返った。
「何故? それこそ解らないな。あれがプロポーズでなくて何だ? だいたいあんた達は恋人同士なのだろう?」
「そうなんですか?」
「・・・・・・」
エルクがこの場にいたら、どこかで聞いたような会話だなと思うところだが、生憎二人はそんなことは知らない。
シュウは、敵と戦うより厄介だなどと思いながら、立てた片膝に乗せた腕に額を押し付ける。
そして、疲れたような声で「もういい」とだけ呟いた。
「シュウさん?」
困ったように名を呼ぶアークに、シュウは苦笑する。
「”さん”はいらないと言っているのに」
アークは、新しく仲間となった目上の人間のシュウ、シャンテ、グルガに対して敬語を使う。
敬語など使わなくていいと何度か言ってはいるが、どうやら定着してしまったらしい。
三人よりもずっと年上であるゴーゲンにすら敬語など使わないのに、これではシュウ達に未だ打ち解けていないかのようで、何となく気に入らない。
もちろん、アークに悪気などは無いので、その都度彼は「慣れてしまったので・・・」と苦笑いをする。
この日もそうだった。
いつもの答えを返され、シュウは無言で立ち上がった。心なしか憮然としているが、普段から彼はこの表情なので機嫌が悪いかどうかは判断がつかない。
「とにかく、休める時には休んだ方がいい」
そう言いながらアークの方へ片手を差し出す。
少し躊躇してアークがその手を取ると、そのまま彼を強い力で引き起こす。
シュウに促されて、アークはおとなしく彼の後に続いて扉に向かった。
「ククルは、俺の半身のような存在なんです」
シュウが扉の取っ手に手を掛けたと同時に、静かな口調でアークが言葉を紡いだ。
驚いて振り返ると、アークは微かな笑みを浮かべた。
「俺はククルとずっと一緒にいたい。彼女といる時が、何よりの安息なんです。それが恋人同士ということになるのなら、俺達はそうなんでしょうね」
穏やかにそう語られ、シュウは扉を背にアークの方を振り返った。
「何故、俺にそんな話をするんだ?」
「さっき、聞きたがっていたように見えたので」
さらりと図星を突かれ、冷静な凄腕ハンターといえども僅かにうろたえる。
「どうしてそんなことを知りたがるのか解らないんだけど・・・」
シュウの横を擦り抜けながらそう呟き、扉を開こうとするアークの後ろから逞しい腕が伸びて開きかけた扉を再び閉めた。
扉と自分の身体の間にアークを挟むような格好で、シュウはアークを見下ろす。
「知りたいか? 何故俺がそんなことに拘ったのか」
いつもよりも低い声が漏れた。
不穏なものを感じ取り、アークの身体が強張る。
この先を言ってしまえば戻れなくなると理性が叫ぶが、シュウの中に渦巻く想いは言葉として溢れ出し、一度口火を切ると止まらなくなってしまった。
「あんたが好きだ・・・、アーク」
間近にいてようやく聞き取れるほどの掠れた囁きは、アークの耳に届いたのかどうかも確信が持てない。
彼は何の反応も示さなかった。
表情も変わらず、澄んだ瞳は依然シュウを見据えていて、感情は浮かばない。
聞こえなかったのだろうか。
深く息をつき、身体を離して「何でもない」と言おうとすると、アークの表情に動揺が滲み始めた。
どうやらシュウの言葉は届いていたようだ。だが、頭で理解するのに時間が掛かったというところか。
(無理もないな)
いきなり同性に告白されれば、誰でも思考が飛ぶ。
だが彼の為と割り切って冗談で済ますには、自身の心の方がそれを了としない。
それでも、アークの動揺の中に恐怖の色が広がると、流石にシュウは慌てた。
「アーク?」
呼びかけると、アークは我に返ったように動揺と恐怖の色を打ち消す。同時に悲痛がそれに代わる。
「そんなことを言っては駄目ですよ、シュウさん」
辛そうな笑顔でそう言われ、シュウは戸惑う。
どういう意味だ? と問い掛ける間もなく、アークは彼の腕の中を擦り抜け、扉の向こうに姿を消した。
すかさず後を追い、アークを呼び止めようとすると、シルバーノアが降下を始めた。
どうやら南極に着いたようだ。
ほどなくしてエルクを始め、南極を任された仲間達が慌しく船内を駆け抜ける音が耳に届く。
アークとシュウの前を通り過ぎようとしたエルクは、二人に気付いて足を止めた。
「じゃあな、アーク、シュウ。行って来るぜっ」
明るく言うエルクに、シュウは無言のまま、アークの後ろから頷いてみせる。
「気を付けろよ」
アークが答えるとエルクは「あんたらもな」と笑みを浮かべ、片手を振り回しながら走り去った。
それを見送った後、アークは顔だけをシュウの方に向けて「それじゃ・・・」と言い残し、自分の船室へと歩いて行った。
シュウはその場に立ち尽くしたまま、短く息をついて窓の外に目を向ける。
白く煙る南極の大地に降り立ったエルク達が、前方にそびえる塔の方へ歩いて行く様が見えた。
シルバーノアの機体が少しずつ浮き上がり、エルク達の姿も小さくなってゆく。
ふと人の気配に視線を動かすと、アークが去って行ったのとは逆の方向に、シュウと同じように窓の外を見つめて佇むリーザの姿があった。
彼女は一心にエルクの後姿を追っている。
「リーザ」
呼び掛けると、哀しげに揺れる瞳がシュウを見上げる。
「エルクと共に行かなかったのか?」
問われてリーザは俯き、小さく頷いた。
「回復魔法は、シャンテさんがいるし・・・。今はまだ辛くて・・・」
彼女がエルクに想いを寄せているのは一目瞭然だ。残念ながら当のエルクは気付いてはいないようだが。
そしてエルクは叶わない恋と知りながら、ククルのことを想っている。
昼間、彼女はその事実を突き付けられていた。
リーザにとっては初恋だったのだろう。傷付いた心を持て余して身動きが取れなくなっているようだ。
エルクのように「好きでいるくらい許せよな」などと潔い言葉は出ない。彼女はどちらかというと「わたしを見て」と願うタイプだ。
憐れみを感じるものの、これは当人の問題なのでシュウは口を出すことはしない。
ただ何も言わず、慰めるようにリーザの頭を撫でてやる。
その優しい仕草に哀しみが蘇ったのか、リーザの目に涙が滲む。
「ククルさんて・・・、綺麗ですよね。容姿も、雰囲気も、心もとても綺麗・・・」
反論はしなかった。
その通りだと、シュウ自身も思っていたからだ。
アークとククルが共にいると、あまりの清らかさに近寄り難ささえ感じられる。
しばらくの間、リーザは声を殺すように泣いていた。
シュウは無言で彼女の頭を撫でて続ける。
アークに望みのない片想いをしている自分と今のリーザは似ているような気がして、放っておけなかった。
涙も枯れる頃、落ち着きを取り戻したリーザはシュウにもう少し話し相手になってほしいと懇願し、シュウはそれを聞き届けた。
「わたし、ククルさんの神殿で聞いちゃったんです。エルクがククルさんに告白してるのを」
「ああ。そうらしいな」
自分もその後の会話を立ち聞きしてしまったから、エルクがククルを好きだというのは知っている。
「ショックでした・・・。ククルさんにはアークさんがいるのに、それを知っているのに、エルクはそれでも好きなんだって・・・。どうして? どうしてエルクは恋人のいる人を好きになるんでしょう?」
どうしてと聞かれてもシュウにも答えようがなかった。
それなら何故リーザは、そんなエルクが好きなのかという話になってしまう。
人の心は、頭でどうにかなるものではない。
「でも、ククルさんは変なことを言ってました。誰もククルさん達を愛することがないように願ったって」
「?」
言葉の意味が解らず、シュウは顔を顰めた。
見るとリーザの表情も困惑したものになっている。
「これってどういう意味なんでしょう? アークさんもククルさんも、誰にも愛されたくないってことなんでしょうか?」
そこまで言ってリーザは、口の中で「もしそうなら・・・エルクの想いはどうなるの・・・?」と呟く。
シュウは、リーザが泣きながら去って行った後の二人の会話を思い返す。
彼が思わず立ち聞きしてしまったのは、エルクがククルに対して声を荒げていたからだ。
『俺の想いを否定すんのかよっ!』
傷付いた声でそう叫んだエルク。
『俺達は皆とっくの昔から、あんたとアークのこと大切に想ってんだよ! 大事な仲間なんだからっ!』
そう言った後、エルクはククルを抱き締めた。
『・・・あんたが好きだ・・・。応えてくれなくてもいいけど、否定したりするなよ・・・』
エルクの淋しげな言葉の後、先程の哀しい笑みを浮かべたアークの姿が思い浮かぶ。
『そんなことを言っては駄目ですよ、シュウさん』
瞬間、シュウの頭の中でパズルが全て埋まったかのような感覚を感じた。
誰も愛さないように願ったというククル。
そのククルに想いをぶつけたエルク。
そして、シュウに向けられたアークの悲痛な瞳の色。
おそらく、エルクに対して言ったククルの言葉が、アークからシュウに告げられた。
そういうことなのだろう。
(つまり、ククルがエルクの想いを否定したというように、アークが俺の想いを否定したということか)
シュウの中に、沸々と怒りが込み上げる。
あの時のエルクの激昂が、そのままシュウのものとなってゆく。
何故エルクがあんなふうにククルに怒鳴ったのか、今答えが解った。
半日ほど経って、シルバーノアは北極に降り立った。
End
アーククのようなシュウアー第2弾(笑)。
やっとアークがシュウの想いを知りました。
同性から告白されたという嫌悪感などはないようですね(苦笑)。
次回はアークとククルが答えを出します。たぶん。
報われると・・・いいね。(おい)
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