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残暑お見舞い申し上げます
幻想水滸伝の主人公の名前はシュリ・マクドール 幻想水滸伝Uの主人公の名前はエルシオン(エル)
いつもと違う服装。
いつもと違う場所。
そんな場所で、手を握って歩いている二人組がいた。
白地に鮮やかな牡丹が染められた浴衣を身に纏っているトラン建国の英雄シュリ・マクドール。
そして、これまた白地に愛らしい出目金が描かれた浴衣を着ている同盟軍軍主エルシオン。
そんな格好の二人が何故ここに?
と、疑問に感じるのは当然の事だろう。
そうなったいきさつを語るには非常になが〜い説明が必要となるが―――そこを敢て簡単に説明すれば、『シュウをだまくらかして逃げ出したエルシオンが、途中出会ったシュリを引っ張りだし、ついでに変装し、ここへ逃げ込んだ』という、ある意味いつもの行動とどこか変りあるのか?という次第であった。
ちなみに、ここはサウスウィンドウの中心地。
いつもは市で賑わう場所が、今日ばかりは色々な屋台が繰り出し、エルシオン達と同じような井出達で出歩く人々で大混雑していたりする―――まあ、これがいつもとは違う点なのだが―――そう、今日は、ここサウスウィンドウの祭りの日だったのである。
ちなみに、夏の終わりに秋の収穫を前にして毎年開催される、都市同盟の中でもちょっと有名な大きな祭りで、各地から大勢の観光客が集まる一大イベントで、実はエルシオンも前々から行きたいと思っていたというのはこの際どうでもいいだろう(^^A;;
でまあ―――
そんな祭りに、経緯はどうあれやってきた二人は・・・・・・どうやらすっかり童心に返っているようで(^^A;;
エルシオンの手には水の入った小袋に二匹の金魚。
一方のシュリの手にはワタ飴と呼ばれる砂糖菓子の入った袋が握られていたりする。
当然の如く、二人っきりで邪魔者が居ないのは言うまでもない。
(シュ〜リさんと〜デ・エ・トvvvvvvvv
イエーーーイ!!!!!!(^▽^)!!!!!!)
「ね、ね、シュリさんvvvv 次は『りんご飴』買いましょうvvvvv」
「あ、―――エル?」
そう言って、有無を言わさず手を握って近くの屋台へGo!
途中、人込を掻き分け―――いえ、実際には蹴散らし―――目指す『飴屋』屋台の前に立つと―――
「あ、凄い!シュリさんv ピカチュ○ですよ!ピカ☆ュウ飴!あ、こっちはプ▽ンに!フシ☆ダネ!凄い!あ―――」
と、二人同時に見たものは・・・・・・・・・
「これって・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・(汗)」
「お!?お客さん!お目が高いね!」
と、とある飴に目が留まった二人に、屋台のお兄さんが声を掛けてきた。
「あの〜、これってもしかして・・・・?」
「お?分かるかい!そうさ、かの有名な『トランの英雄飴』だ!」
(・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり・・・・・・・・)
二人は同時に思った。
何故なら、その飴の人物は赤い服に緑色のバンダナらしきものを象って、しかもその手には黒い棍らしきものが握られていたのだから・・・・
ある意味、造詣としては飴でよくぞそこまでかたちどったと褒めてあげたい。
が―――当の本人にしてみれば・・・・・・・
(やめて欲しい・・・・・・(−−A;;)
しかも―――
「あ!『トランの英雄飴』だ〜!お母さん!買って!!」
「まあ、英雄様の飴だわ〜私も欲しい〜vvvvv」
「いらっしゃい!一個30ぽっちだよ!」
「『トランの英雄飴』くださいな」
「はいよ!」
と、まあ中々好調な売れ行きのようで・・・・・・(^^A;;
「で、あんた達も買うかい?」
「え、僕は・・・・・・」
シュリは謹んで辞退しようとしたのだが―――隣に立つエルシオンはやおら屋台のお兄ちゃんの手を握り締めると、
「欲しいです!全部!!!!買い占めます!!!!!!!!!!!!」
と、叫んだ。
「エ、エル?」
「(汗)――――ふ、太っ腹だね〜!あんた、『トランの英雄』FANかい?」
「当然です!ボクは私設『トランの英雄FANクラブ』会員番号2番ですから!!!」
「・・・・・な、なるほどな・・・・・・・・」
思わず引いてしまう屋台のお兄ちゃんだった。
「とにかく!これ以上シュリさんを他の人に渡す訳には行きません!!残りは全部ボクのモノです!!!」
「エ、エル・・・・・あまり目立たない方が・・・・・」
どうやら我を忘れているエルシオンに、シュリが落ち着かせようと声を掛けるのだが、自分以外の人物にシュリが買われているかと思っただけで、脳みそが沸騰してしまったらしい彼の耳には届かなかったようだ。
「へえ〜、かなりの心酔っぷりだね〜!よし!気に入った!!こうなったらあんたに残り全部売ってやるよ!」
「はいvvvvvv」
ニッコリと笑みを浮かべるエルシオンに屋台のお兄ちゃんは満足そうに頷くと、早速残った『トランの英雄飴』を包み始めた。
それはかなりの数で、勿論お持ち帰り用の袋に全部入る訳もなく、おまけとばかりに風呂敷に包んで差し出してくれたのである。
「ほい、全部で3600ぽっちだ」
―――ドンッ!!
とばかりに飴の入った風呂敷を渡されて、エルシオンは言われた金額に冷や汗タラリ・・・・・・・・・
「エル?」
「は・・・・・ははははは・・・・・・」
「どうしたんだい?兄さん?ほれ、3600ぽっち」
と、手を差し出されたがエルシオンは更に汗をタラタラと流した。
「どうしたんだい?え?」
「エル・・・・まさか・・・・・」
「あ、あはは・・・・・足りません」
(T~~T)
思わずシュリはガクリと肩を落とした。
「やっぱり・・・・・分かった。じゃあ、ここは僕が出しておくから」
「済みません・・・・・・・」
そう言ってシュリは自分の懐からサイフを取り出すと、3600ぽっちを支払った
「まいど!」
そう言って、屋台のお兄ちゃんは受け取った金額を確認すると、定番の挨拶を返す。
「お、そうだ!」
「?」
「大得意様におまけだ」
そう言って、屋台のお兄ちゃんは手にしたものをシュリへと差し出した。
「?」
受け取って繁々と見詰め―――エルシオンも覗き込んでます―――
「これ・・・・?」
と、呟いた。
「試作品の『デュナンの軍主飴』だ」
「( ̄□ ̄;!!」
「へえ・・・・よく出来てる」
手にした飴に視線を落とし、シュリはそう呟いた。
赤い服に黒髪。
しかも、その頭には金冠らしきものがくっ付き、両手にはトンファーらしきものを握っている、これまたかなりの力作である。
(ううううう・・・・・・なんとなくシュリさんの気持ちが分かったような気がする・・・・・・・・(−−A;;)
それでも、手にした『トランの英雄飴』を手放す気はない。
寧ろ、たった30ぽっちでシュリが売られていたかと思うと、もっと早く来てもっと早く買い占めれば良かったと後悔ひとしおなのは言うまでも無い。
(とにかく!来年はいの一番にここに来て買い占めてやる!!!シュリさんはボクのものだ〜!!!!!誰にも渡すもんか〜!!!!!)
と、心に新たに誓うのであった。
そして―――
「はあ〜、楽しかったですねvシュリさんv」
「そうだね」
あれから更にいろんな屋台を回り、焼きイカ・たこ焼き・フランクフルトと食べ歩き、喉が渇いたらカキ氷。
お腹が一杯になったらヨーヨー釣り・射的に輪投げ。
当然の如く、そこの屋台のお兄ちゃんが『これ以上は勘弁してくれ!』と泣いて懇願するほどに尽く景品を取り付くし、今では両手に一杯―――これ以上は持てませんな状態になるほど二人は祭りの雰囲気を目一杯楽しんでいた。
「しかし・・・・ちょっと、多すぎるかな」
チロリと視線を落とせば、袋からはみ出した景品の数々が見える。
ちなみに、射的はシュリ担当。ヨーヨーつりと輪投げはエルシオン担当だったりした。
「そうですね〜・・・・・こんなにあってもボク達にはちょっと子供向け過ぎだし」
得てして、祭りの景品などそういうものだ。
「あ、そうだ!お城の子供達にでも配りましょうか?」
「それはいいね」
と、その時―――
「見つけたぞ!バカ軍主!」
そんな罵声と共に、エルシオンの背後に黒い影が現れた。
「ゲッ!サスケ!!」
「おっと!逃がさねえぞ!!」
慌てて逃げ出そうとする、エルシオンの首根っこ―――に括ってあった『トランの英雄飴』が山程入った風呂敷を掴んだ。
「あが、あががががっ!!」
「あんたに逃げられると、俺が困るんだよ!」
そう言って、手にした風呂敷をグイッ!!!
「あがが〜!」
首を絞められて、エルシオンは苦しそうに悶絶を繰り返した。
「サスケ!」
「あんたもあんただよ!このバカ軍主に付き合って、こんな所までトンズラしやがって!!!!」
慌てて割って入ろうとしたシュリに、サスケの怒鳴り声が響く。
その言葉に、シュリに思わず止めるのも忘れエルシオンを見た。
「トン・・・・ズラ?・・・・・エル?」
「あわわわわわわ〜〜!」
慌てたように手を振るエルシオンを見て、シュリは理解した。
(そうか・・・・・・・・・シュウ殿の許可を得たってやっぱり嘘だったのか・・・・・・・)
つい、エルシオンの言葉を信じてしまった自分の不明を反省しつつ、シュリは深い溜息を付くと、今だ何とかサスケから逃げ出そうとするエルシオンに向かって最後の宣告を告げた。
「とにかく、帰ろう。すぐにでも―――」
有無を言わせぬ言葉。
しかも、悲しそうな表情まで浮かべられてのそれにエルシオンが逆らえる筈はなかった。
「・・・・・・・・・はい」
「ほれ、バカ軍主!さっさとしろよ!」
「痛い〜!!!!引っ張るなよ〜!!!!」
グイッとサスケに引っ張られて―――エルシオンは、踏鞴を踏みつつそれでも大人しくデュナン城へと戻るのであった。
で、結局―――
デュナン城に帰ってきたエルシオンとシュリの前に立っていたのは、文字通り大きな角が生えたシュウであった。
「エ・ル・シ・オ・ン・殿(怒)」
「あ、あは♪あれ〜?シュウがお出迎えしてくれたんだ〜♪」
誤魔化すように明るく茶化すエルシオン。
だが、それによって更にシュウの眉間の皺が深くなったのは言うまでも無い。
「シュウ殿・・・・・遅くなって申し訳ありません」
「いえ、此度の事―――どうせ、原因はエルシオン殿だと分かっておりますので、お気遣いなく」
「・・・・・・・・」
キッパリと返されて、シュリは困ったようにエルシオンを振り返った。
だが、エルシオンはこの危機的状況を分かっているのか、分かっていないのか?
ニコニコと笑顔で手にした景品をシュウへと見せていた。
「あ、そうそう♪これを城の子供達へあげてください♪」
手渡されたものに片眉を跳ね上げつつ、それでも受け取り、
「ほう?これを・・・・ですか・・・で?そちらの荷物は?」
と、シュウが指差した先は―――エルシオンの首に大切そうに巻かれている風呂敷。
「あ、これは・・・・・・・これはいいの!これはボクんだから!!!!!!お金だして買ったんだから!!!!!!」
「お金?」
その瞬間シュウの瞳がキラリーーンと光った。
「エルシオン殿!この同盟軍の財政が危機的状況である今、何を買われたのか是非とも見せていただきましょうか!」
まさか、そうくるとは思わなかった。
「え!?」
「あ・・・・・・・・」
エルシオンは固まり、シュリは思わず視線を逸らしていた。
それを見たシュウは確信する。
(またロクでもないものを買ったな!!このバカ軍主が!!!!!!!!(怒))
思わず怒りが沸々とこみ上げてきた。
(人が苦労して、資金の調達に頭を悩ませているというのに――――そのせいでここ最近・・・・・・が微妙な感じに・・・・(苦))
(それを・・・・・それをッ!!!!!!!)
「渡して頂きます!!!!!!!」
そう言って、シュウは徐にエルシオンの首に巻かれた風呂敷に手を伸ばした。
だが!軍師のトロイ運動神経で繰り出された攻撃によって大人しく奪われるようなエルシオンではない!!
「がああああああ!!!!!!だ〜れがこれを渡すもんか!!!!!」
「エルシオン殿!!!!!!」
「へへ〜んだ!!!!見たかったからここまでお〜いで〜だ!!!!!!」
そういい残すと、あれよという間にエルシオンの姿が城の中へと消えていく。
それは見事な逃走術(?)と言ってもいいだろう。
「サスケ!!!!」
「へ〜い」
なんだかヤル気なさそうなサスケの返事が返る。
「エルシオン殿を捕まえろ」
「え〜?またかよ・・・・・・」
「これは、命令だ!」
「分かったよ」
そう言って、サスケの姿が消える。
それを見送った後、シュウはそこにシュリをがいることをやっと思い出したのか、浮いた青筋を隠す事もできず振り返った。
「お見苦しい所をお見せしてしまいました」
「いえ・・・・それよりも、余りエルを怒らないでもらえますか?」
「・・・・・・・なるべく善処させていただきます。それでは・・・・・・」
そういい残すとシュウは立ち去っていく。
それを見送りつつ―――数分後に城中に響くであろうシュウの怒声を思った。
だが、これ以上は自分に関与するのは許されていなかった。
で、まあ数分後―――
『このッ!!!バカ軍主があああああああ!!!!!!!!』
予想通りシュウの怒声がノースウィンドウの城を駆け巡っていった。
「で―――それは何なのさ」
とは、石版の管理人であるルックのセリフである。
「あ、これはおまけで貰ったんだ」
「おまけ?」
そう言って、ルックはシュリが手にしている飴に視線を落とした。
途端、眉間に不機嫌そうな皺が寄った。
「・・・・・・それ、どうするつもり?」
「え?・・・・・・」
「まさか、食べるつもりじゃないだろうね?」
「・・・・でも、捨てる訳にはいかないし」
「止めときなよ」
「あっ!」
そう言って、ルックは有無を言わせずシュリの手からその飴を取り上げた。
そして、視線を向けてフンと鼻先で笑う。
「あのサルを模するなんて、無謀だね」
そう―――それはオマケで貰った『デュナンの軍主飴』であった。
「そうかな?かなり良い出来だと思うけど?」
その言葉にルックの眉がピクリ―――そして、
「あ!」
と、声を上げる間にその手から放り投げられた『デュナンの軍主飴』は窓の外へ―――
思わず窓に飛びついたシュリだったが、見下ろした先―――小さな飴の姿はどこにも見えず、おそらく地面に激突して粉々になってしまっただろう。
そう思うと、シュリは少しだけエルシオンに申し訳ないような気がした。
(一応・・・・本人の姿を模したものだったし・・・・・)
微妙に縁起が悪いというものだ。
「それよりも、あいつと二人で行ったんだって?」
「あ、うん」
「ふ〜ん・・・・・・」
そう言って、ルックは何やら考える素振りをしてみせる。
「ルック?どうかし―――」
と、尋ねようとしたシュリの手を徐に掴んだルックは―――
「じゃ、もう一度、僕と行こうか」
「え?」
ニコリと笑ってテレポートしていった。
さて、その頃やっとシュウの説教から開放されたエルシオンは―――何やら自分の部屋に篭って怪しい行動をしていた。
「くっそ〜・・・・・シュウの奴〜・・・・・ボクのシュリさん飴を取り上げやがって!キイイイイイイ!」
と、悔しそうにハンカチを噛み締めていた。
だが―――
「でも・・・・・」
キラリーン!とエルシオンの瞳が光る!
「流石のシュウも、ここに隠し持った最後の飴には気づかなかったみたいだもんね〜vvvvvvv」
ジャーーン!とばかりにお腹の所に手を突っ込んだエルシオンが取り出したのは、屋台で購入した『トランの英雄飴』である。
「ぐふふふふふふvvvvvvv」
そう言って、エルシオンはその飴に頬擦りよせ、怪しい笑みを浮かべていた。
「シュリさ〜んvvvvvvv やっと、やっとvvvvvvv ぐふふふふふふvvvvvv」
どうやら頭の中で怪しい妄想が走っている模様。
そして、震える手で、その飴の包装紙を剥がし、それを目の前に掲げ、「ん〜vvvvv」とばかりに目を瞑って、唇に―――
ポロリ・・・・・・・・・・・
( ̄□ ̄;!!
哀れ、『トランの英雄飴』は、それまでの衝撃で粉々に砕け散ったのでありました。
― おまけ ―
「お!そこの綺麗なお兄さん達!どうだい!これがかの有名な『トランの英雄飴』だ!買ってかないかい!?」
「あ・・・・・・・」
二人立ち止まってそれを見た途端、一人は驚いたように硬直し、もう一人は―――
「へえ〜面白いもの売ってるんだ。幾ら?」
「一個30ぽっちだよ!」
「貰うよ」
「はい!毎度!」
そして―――
「ふ〜ん・・・・・こんなものまであるんだ」
そう言って、指先で飴の棒の部分をクリクリ回す少年が、もう一人の少年を見やった。
「そ、それは・・・・・・・」
「結構、おいしそうだよね?これ・・・・・・・(ニヤリ)」
「あ、甘いもの嫌いじゃなかったっけ?(汗)」
「これは、別」
そう言って、少年は手にした飴の包装紙を剥がし、まるで見せ付けるように―――
「(・//////・)」
舐めた。
― fin ―
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