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波瀾の戦場
そんなわけで、色々と確執はあったが無事乗り越えて、いきなりだがミネルバとアークエンジェルは協同戦線を張っていた。
現在は全軍入り乱れてのMS戦の真っ最中で、際立って目立つのはやはり色とりどりのガンダム達である。
たった1機の派手な機体が鬼神の如くの強さで敵機を撃墜していく様が、所々で見受けられる。
だが、そんな冗談のような強さを誇るガンダムのパイロットというのは、まだ20歳にも満たない少年達であった。
シン「邪魔だから俺の近くで戦わないで下さいよ! 敵と一緒に撃ち落としちゃっても知りませんからね」
アスラン「勝手な行動を取るな馬鹿! 指示に従え!」
イザーク「貴様ぁ、リーダー気取りか! それにそこのガキ、生意気なことをほざくな!!」
キラ「喧嘩してる場合じゃないでしょう! 戦闘に集中して下さい」
ディアッカ「あ〜あ、なんでこんな連中とチーム組んでるのかねえ」
レイ「・・・・・・」
彼らのチームワークはめちゃくちゃだった。
何故かイザークとディアッカまでいるというのは、パロディのお約束である。
一方、彼らの戦闘を援護するミネルバとアークエンジェルでは、少年達を見守る保母さん・・・もとい、艦長達が通信機越しに聞こえる彼らの会話を呆れたような面持ちで聞いていた。
マリュー「まるで子供の喧嘩ね・・・」
タリア「シン、少し冷静になりなさい」
シン「冷静ですよ、俺は。だいたいさっきからうろうろと目障りなんだよ、そこのフリーダム!!」
キラ「(ムカ)なら君がどこかに行けば? 僕はアスランと違って君の子守りする暇なんてないから」
イザーク「ふん。戦場では弱い奴は死ぬだけだ。言っておくが、邪魔ならお前らも排除するからな」
ディアッカ「おいおい、俺らがいがみ合っててどーすんの。もっと和やかにできないわけ?」
アスラン「和んでどうする! 無駄口叩く暇があるなら敵を討て!」
レイ「・・・・・・」
シン「何だよ、偉そうに! それに子守りって失礼じゃないですか!?」
ディアッカ「すぐにキャンキャン喚くところが子供なんだよ、ばーか」
イザーク「いい加減に黙れくそガキ! それとアスラン、俺に命令するな!」
アスラン「命令されたくなければ効率良く働け。言っておくがキラ、俺は好きで子守りしているわけじゃないぞ」
キラ「ふーん、君があんな我侭少年の世話してる間に、カガリがどれほど大変な思いをしたか知らないくせに」
レイ「・・・・・・」
アスラン「・・・っ、痛いところを・・・っ」
シン「わ、我侭ぁ!? それにくそガキって・・・っ」
キラ「言っとくけど、僕は君達にはまだ怒ってるからね」
ディアッカ「ああ、女の子を泣かすなんて最低だよなあ」
イザーク「男の風上にも置けんな」
レイ「・・・確かに」
延々と口論をしている割に、襲い来る敵は見事な正確さで撃ち落とし、ミネルバやAAも立派に護っているのだからたいしたものだ。
しかし険悪な舌戦は更に激しさを増し、キレたシンが倒した敵の機体のパーツの一部をキラに向けて投げ付け、それをキラが避けてイザークの機体にぶつかったことから敵味方を巻き込んだ戦闘は勃発した。
イザーク「貴様らあぁぁあっ!! まとめて撃ち落とす!!」
キラ「僕じゃありませんよ。撃ち落とすなら彼だけにして下さい」
シン「あんたが避けなきゃ良かったんですよ!!」
アスラン「いい加減にしろ!! お前達、艦に送り返してやろうか!?」
ディアッカ「悪いけど俺、ミリアリアとデートする夢叶えるまで死ねないんだよね。避難するわ」
レイ「・・・同士討ちする気か」
段々と危険な様相を呈し始めた事態に、傍観していたミネルバやAAのクルー達もこれはまずいと察する。
そしてここは冷静な女性艦長達の迅速な指揮が光った。
マリュー「カガリさん! 何でも良いから彼らに何か言ってやって」
カガリ「えっ?」
タリア「お願いします。貴方の言葉が彼らには最も有効なのです」
カガリ「??? そうなのか?」
ラクス「はい、カガリさん、マイクですわ。思いっきり喝を入れてやって下さいv」
どこからか取り出したマイクを手渡すラクスは、一見花のように可憐な笑顔を見せているが、内心では(まったく、世話が焼けますわね。戦場は幼稚園じゃありませんことよ)とか何とか呟きながら非常にご立腹であった。
それはさておき、マイクを手渡されたカガリは「よしっ」と表情を引き締めると、敵機を千切っては味方に投げ付け、千切っては味方に投げ付けて互いの足を引っ張り合うガンダム乗り達に向けて、毅然と言葉を放った。
カガリ「おい、お前ら、いい加減にしろ!」
アスラン「カ、カガリ!?」
キラ「カガリ!」
イザーク「な!」
ディアッカ「おっ」
シン「な、何だよ」
レイ「・・・あ」
一斉に動きを止める凶悪なガンダム達。
全員の意識が聞こえてくる少女の声に集中する。
そして、決定的な言葉が彼らに向けて発せられた。
カガリ「これ以上馬鹿やってると、戻って来た時
“よしよし”してやらないぞ!!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「えええええええっっ!!!!!」
ミネルバとアークエンジェル艦内はもちろん、戦場となった宇宙にまで轟く絶叫。
少年達の悲痛な叫びは宇宙の果てまで響き渡った。
キラ「ま、待ってよカガリ! そんなの嫌だよ!!」
アスラン「頼む、考え直してくれカガリ!」
イザーク「お前、何てことを・・・っ」
ディアッカ「うわあ、それきっつー」
シン「そこまで言わなくたっていいじゃないか!」
レイ「・・・・・・そんな・・・」
いったい何がそんなにショックなのか。
マリューやタリア達には理解不能だったが、どうやら少年達にはかなりの打撃だったらしい。
モニターには顔面蒼白の彼らの縋るような視線がカガリに向けられている。
カガリ「それが嫌なら皆で協力して敵を倒せ!」
アスラン「了解した!」
キラ「解ったよ、カガリ!」
イザーク「ちっ仕方ない!」
ディアッカ「やりますか」
シン「くそ、やればいいんだろ!」
レイ「了解」
その後、先ほどまでの足の引っ張り合いが嘘のように素晴らしい連携を見せたガンダム達は、圧倒的な強さで敵軍を一網打尽にした。
彼らが無事にお姫様の愛の抱擁を頂けたかどうかは・・・。
ミネルバとAAでそれぞれお母さん・・・もとい、艦長達のお説教を受ける少年達が幸せの絶頂であったことから、真実は詮索するまでもないだろう。
END
初のDESTINYネタがこんな弾けたギャグって・・・。
マリューさんとタリアさんが保母さんになってしまいました。
とりあえず、一度は書かねばと思っていたカガリ総受け。
新キャラとのCPはシンカガも良いけど、レイカガの方がツボだったり(笑)。
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