1.プロローグ

金色の糸が扇の如く夜空に広がる。

淡く月の光を受けて神秘的な輝きをみせるそれは、
風に煽られて柔らかく揺れている。

金の波の隙間から見え隠れするのは、瑞々しい少女の身体。

すらりとした手足、しなやかな肢体、細い肩、柔らかな膨らみ、愛らしい顔立ち。

どれを取っても文句の付け所のない美少女。

金色の長い髪を風に揺らし、振り向いた二つの瞳は湖面のように透き通った輝きを宿す。

ふと浮かんだ微笑みは、どこまでも無垢で優しい。

『聖域』、という言葉が思い浮かぶ。

風に晒されて舞う一房の髪を押さえながら、
薄く紅を差したような柔らかな唇が小さく開かれた。

「眠れないのですか?」

愛らしい口元より発せられた鈴のように澄んだ音が、
風に運ばれて心地よく耳を通り過ぎた。

「君こそ。夜更かしは美容の大敵だぜ?」

冗談めかした青年の言葉に、少女は花がほころぶような可憐な笑みを浮かべた。

無防備な笑顔に、青年の胸が高鳴った。

青年は少女をみつめ、少女は青年を見つめる。

月の光に照らされて、二つの影が長く伸びる。

星々は宝石のように輝き瞬いて、暗い夜空を飾る。

風は二人の間を優しく通り抜ける。

ゆっくりと、二人の距離が縮まっていった。





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〈コメント〉
 プロローグです。
 これは随分前にコピー本として発行した話です。
 発行部数少なかったので知ってる人はほんのわずか(苦笑)。
 少々手直ししましたがストーリーは変えてません。
 


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