金色の糸が扇の如く夜空に広がる。
淡く月の光を受けて神秘的な輝きをみせるそれは、
風に煽られて柔らかく揺れている。
金の波の隙間から見え隠れするのは、瑞々しい少女の身体。
すらりとした手足、しなやかな肢体、細い肩、柔らかな膨らみ、愛らしい顔立ち。
どれを取っても文句の付け所のない美少女。
金色の長い髪を風に揺らし、振り向いた二つの瞳は湖面のように透き通った輝きを宿す。
ふと浮かんだ微笑みは、どこまでも無垢で優しい。
『聖域』、という言葉が思い浮かぶ。
風に晒されて舞う一房の髪を押さえながら、
薄く紅を差したような柔らかな唇が小さく開かれた。
「眠れないのですか?」
愛らしい口元より発せられた鈴のように澄んだ音が、
風に運ばれて心地よく耳を通り過ぎた。
「君こそ。夜更かしは美容の大敵だぜ?」
冗談めかした青年の言葉に、少女は花がほころぶような可憐な笑みを浮かべた。
無防備な笑顔に、青年の胸が高鳴った。
青年は少女をみつめ、少女は青年を見つめる。
月の光に照らされて、二つの影が長く伸びる。
星々は宝石のように輝き瞬いて、暗い夜空を飾る。
風は二人の間を優しく通り抜ける。
ゆっくりと、二人の距離が縮まっていった。
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〈コメント〉
プロローグです。
これは随分前にコピー本として発行した話です。
発行部数少なかったので知ってる人はほんのわずか(苦笑)。
少々手直ししましたがストーリーは変えてません。
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